冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う
「この理美が本来の姿。あの日はかなり化けてた、っていうよりも瑠依と俺を引き離そうとして女優になっていたんだよ。まあ、三流以下の女優だったけどさ」
「さ、三流って何よ。普段しない派手な格好をして乗り込んでやったっていうのに、結局紬の思うがまま進めて瑠依ちゃんは捕まっちゃったじゃない」
「捕まったって、その言い方はおかしいだろ。ちゃんと俺と瑠依は二人の意志で結婚したんだからな」
「あら?紬のおばあ様たちの言いなりになって結婚したんじゃなくて?」
「違う。俺は、自分の意志で、瑠依と結婚したんだ。これ以上俺たちをかき回すなよ」
「……だってさ。こっちが照れるよね、瑠依ちゃん?」
「あの、その……私……」
か細い声で呟いた私に、理美さんはふふっと笑い、驚く私と紬さんを交互に見てはにやりとした表情を浮かべた。