冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う
私の戸惑いを理解してくれたのか、理美さんは何度か頷いた。
「ごめんなさいね。瑠依ちゃんが病院に運び込まれた時に、ちょうど私もその場にいて……。その時から瑠依ちゃんのことを気にかけていたから、つい。
修ちゃんは、私の弟で、紬のいとこにあたるの。ま、私も紬のいとこになるんだけど」
「い、いとこ? それに、病院って……?」
思いがけない言葉に、小さな声をあげた。
いとこだなんて想像もしていなかったけど、そう言われると、二人は似ているような気もする。
整った顔もそうだけど、自分に自信がある言葉を口にするところや周囲に流されず頑固に自分を貫きそうなところとか。
いとこだと言われて、納得する。
「そうか、いとこだったんだ」
私が無意識に口にした言葉には安堵感が滲んでいて、目の前のこの綺麗な女性が私のライバルではないことに安心する。
ライバルだとしたら太刀打ちできそうもない。
「そうなの。紬の父親の弟が私の父親。で、修ちゃんは私の弟なんだけど、紬より顔も性格もいいのよ」
身を乗り出して私に強い言葉を向ける理美さんは、優しい笑顔を見せた。
修ちゃんと呼んでいる弟さんのことが本当に好きなようだ。
「小さな頃は喘息に苦しんでいたけど、今じゃ身長は180センチもあるし本当にいい男なのよ」
「いい男って言われても、私はもう紬さんと」
「結婚式はまだなんだから、紬じゃなくて修ちゃんと一緒にならない?」