冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う



「まだあるんだけど? 俺を射とめようとして強い思いを含んだ目がたまらないだとか……」

「だからいいってば。そんなに色々恥ずかしいことばかり言われても、困るし。それに射とめようだなんて……」

「なんで困るんだ? 俺、素直に本心を言っているだけなんだけど」

予想外に次々と呟かれた紬さんの大きな声は部屋中に響いていたようで、周囲から生ぬるい視線が注がれる。

からかうように笑い見て見ぬふりをする人や、私たちの様子を何度も伺う人もいて、居心地が悪い。

それに気付いていないのか、それとも気にしていないのか、紬さんは更に言葉を続けようとする。




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