冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う


けれど。

「紬がそこまで瑠依ちゃんにほれ込むのなら、修ちゃんと瑠依ちゃんの結婚はあきらめるよ」

理美さんの呆れたような声が響き、紬さんも彼女へと視線を向けた。

「あ? おまえ、まだいたの? 修のことなんてとっくに話は終わっているんだ。偶然ここで会っただけなんだからとっとと帰って俺と瑠依を二人にしてくれよ」

私の肩を抱き寄せて、反対の手で理美さんを追い払うような仕草を見せる紬さん。

素直すぎるというか、恥ずかしすぎるというか。

私と二人にしてくれって、露骨すぎる。

そんな私の思いは理美さんも同じようで、一瞬目を見開き驚いたものの、すぐに私に同情の目を向けてくれた。

『大変ね』

視線でそう私に伝えてくれた理美さんに、私は大きく頷いた。



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