冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う
驚いた顔を見せた紬さんに、私の思い、そして理美さんが抱えているであろう思いをどう伝えればいいのか。
紬さんに自分の気持ちを正確に伝えることは難しいとわかっている。
それに、紬さんに悪気がないのもわかっているけれど。
「理美さんにとっての幸せな人生は、他人から与えられた好意と努力によるものだから……それは私と一緒」
「理美と瑠依の境遇は違うだろ?おじい様に育てられたとはいっても、それは身内だから」
「身内だから仕方ない?」
「あ、ああ。大切な孫なんだから、育てるのは当然だろ」
「ん……おじい様にとってはそうかもしれないけど」
小さく息を吐き、笑顔を作ってみるけれど、その笑顔が紬さんの気持ちをやわらげたとは思えない。
私を見つめる瞳は相変わらず訝しげだ。