冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う



そして、こくんと俯くと、そのまま顔を私の肩に乗せた。

気のせいか、普段よりも優しいその仕草にじわりと気持ちが温かくなる。

「俺が江坂に生まれて、瑠依が葉月に生まれて。……間違えることなく出会えて、本当に良かった」

その思いをかみしめるようにこぼれた言葉に、更に幸せを感じる。

本当に愛されているって、実感する。

おじい様や父さんが、私の身の安全を考えて無理矢理強行した結婚だけど、その先で私を待っていてくれたのは紬さんという愛しい人だった。

いつも俺様な態度で強い自分を見せつける、それでもどこか危うくて、目が離せない魅力を持った人。

そう、紬さんが待っていてくれた。



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