冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う
近田部長がその存在を気にしている『おじい様』という絶対的な支配者によって決められる私の未来は、決して私が望むものではないと部長に伝えたとしても、根本的な私への見方は変わらないはずだ。
『周囲が計画し、作りあげた将来を受け入れて安穏と生きていく』
私はそんな人間だという印象を変える事はできないはずだ。
何も不自由しない、特に不安もない、もしかしたら感情さえも欠如した、裕福な女だというばかな先入観を取り払うなんてできないはずだ。
小さな頃から何度となく味わってきたこの思いを、大人になった今も尚受け止めなければならない現実に、ため息すら出ない。
おじい様という絶対的な王様が、私を溺愛するあまり、手放してくれないのだ。
本当、いい迷惑だ。