冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う
「なあ、この腕を解いても逃げないよな。俺、抱きしめるのも好きだけど、手を繋いで歩くのも好きなんだ」
紬さんは、私を拘束していた腕を解き、意味ありげに私の腕を上から撫でると、そのまま私の手を握った。
すっと腕を流れる紬さんの指先を敏感に感じ、私の体はぞくりと震える。
それに気付いたのかくすりと笑った紬さんは、私の手を握りしめるだけでなく指と指を絡めあい、絶対に離してもらえないと思うほどの力強さで私を引き寄せた。
「あ、俺は肩を抱いて歩くのも好きなんだけど、瑠依は一緒に歩く時は手をつなぐのとどっちが好きなんだ?」
私の顔を覗き込む、美麗すぎる顔が間近にあった。
……もう、好きにして。