やさしい手のひら・後編
「誰だろう?」

私は鞄の中から携帯を取出し、画面を見た

「あ、由里から」

急いでボタンを押すと

「…」

由里?泣いているの?啜り泣きが聞こえる

「由里?どうした?」

「亜…美」

やっと由里の声が聞こえた

「何かあった?」

新くんと目が合い、どうした?と心配そうな顔で私を見ている

「…」

「由里、泣いてちゃわからないよ。ゆっくりでいいから話して」

私は優しく問い掛けた

「さっき…慎から…電話があって…」

「うん」

由里は泣きじゃくっているため、うまく話せないでいた

「本郷が…本郷が…」

凌?

凌がどうしたの?続きを早く聞きたかったけど、由里が話すまで待っていた

「落ち着いて…聞いて…ね」

由里の言葉にドキッとしてしまう

胸騒ぎがする。なんだろう手に汗が滲み心臓がドキドキしている

なかなか言わない由里に

「凌に…何かあったの?」

焦っていた私は由里を急かせてしまっていた



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