やさしい手のひら・後編
沈黙が続く中、先に声を発したのは凌だった

「川崎さんのことは・・・もういいのか?」

健太のことを突然言われてびっくりしてしまい、体がビクッとなってしまった

「もう別れたから」

「別れたとか別れてないとかの問題じゃなくて、亜美の気持ちのこと聞いてんだよ」

私の気持ちは・・・もう封印した

「私はもうなんとも思っていない」

そう言ったら凌が私に

「嘘つくな」

「嘘じゃない」

ついむきになってしまった

「すぐに忘れられもんじゃねぇだろ。無理に我慢して忘れたって無駄だって」

「無駄じゃないもん」

どうしてそんなこと言うの・・・

無駄じゃない。無駄じゃないのに・・・

「ほんとに好きで今の男と付き合ってんの?」

凌は何を知りたいの?

何を探っているの?

「当たり前でしょ」

「だったらもう俺の所に来るなよ」

「どうして・・・」

「理由なんてない」

「じゃあ、来てもいいじゃない!」

急にそんなこと凌が言うから私はつい悔しくて泣いてしまっていた



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