やさしい手のひら・後編
一日が終わり、久しぶりの仕事と子供達のパワーで、すっかり疲れ切ってしまっていた私に

「夏休みどうだったの?」

そう言って夏希先生が話し掛けてきた

「長い休みでしたよね」

「子供達と同じくらい休みがあるっていうのも凄いでしょ」

「ほんとですね」

ちょっと日焼けした夏希先生と話し込んでいた

時計を見ると18時を回っていて

「私、帰りますね。お疲れ様でした」

「また明日ね」

そう言って幼稚園を出て来た

夕焼けを見て、最後に凌の病院を出て来たことを思い出す

「どうしているかな・・・」

2週間凌に会っていなかった

この2週間で足はどうなっただろう

由里から連絡もないし、凌からも連絡はない

行ってみようかな・・・と思う気持ちはあるのに決断できない自分がいる

来るなと言われたことがやっぱり私を行かせないでいた

「やめておこう」

今行ってまた凌の気持ちを乱すのはよくない

頑張っているんだから・・・

私は病院へ向かっていた足を止め、また戻り歩いていた

ピッピッ

後ろからクラクションを鳴らされ、びっくりして体がビクッとなり振り向くと

「帰るのか」

「あ、新くん」

仕事が忙しくてずっと会えていなかった新くんだった

「飯、食いに行く?」

「うん」

私は助手席に回り、新くんの車に乗り込んだ



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