やさしい手のひら・後編
久しぶりに新くんの車の匂いを嗅ぎ

「久しぶりだね」

「元気だったか?」

そう言って撫でてくれた大きな手がとても懐かしく感じてしまった

「あいつは?」

「え?あいつ?あっ、凌?」

「そう」

「うん…」

一瞬、キスをしてしまったことを思い出してしまった

「リハビリしていると思う…」

「思うって何?」

「ずっと会ってないから…」

「何かあったのか?」

「う、ううん。な、何もないよ」

動揺している自分に焦ってしまう

「リハビリ始まってから来るなって言われちゃって」

笑いながら言ったら…

「何か隠してねぇ?」

「か、隠し事なんてないよ」

新くんの目が見れなくて、ばれたくなくて、外の景色に目を反らした



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