やさしい手のひら・後編
「幸せに・・・なってね。絶対幸せになってね!」

私ちゃんと笑ってるよね?

笑って言えてるよね?

私に呼ばれた健太は、私が走って来たことに驚いたのかタクシーに乗るのを辞めて一歩前へ出てきた

「私・・・ちゃんと前に進んでいるから・・・。今まで・・・ありがとう。私・・・私幸せだったよ」

これが私の精一杯の言葉だった

笑顔で言いたかったから絶対泣かない

「亜美・・・」

愛しい声で私の名前を呼んでくれた

「亜美」って・・・

それだけで私はもう十分

タクシーの中で佐原樹里が健太の服を引っ張り急かしている

そして健太は私の名前を呼んで何か言い掛けたままタクシーに乗って行ってしまった

これで終わった・・・

自分との戦い

健太との決別

私はその場で崩れ、地面にべったり座り込み、声を張り上げて我慢していた涙を流した

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