やさしい手のひら・後編
「そのことなんだけどね…」

由里はそう言ったまま黙ってしまい、沈黙が少し続いた

「明日一緒に病院行かない?」

「ちょっと待って由里。何かあったの?凌に何かあったの?」 

「明日、病院に行けばわかるから」

明日だなんて気になってしまう

「由里、今教えてよ」

「いいから。明日行けばわかるから」

由里の声のトーンを聞いても、それが良いことなのか、悪いことなのか聞き分けることができず、何があるのかドキドキしてしまう

「明日、6時に病院の前で待ってるから」

「うん…わかった」

疑問が残ったまま由里と電話を切った

二ヵ月会っていない凌が今どんな状況なのか、まったく予想もつかなかった

ちゃんと動いているのだろうか

もしかしたら動いていないのかも…

そんなことばかり考えていた



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