やさしい手のひら・後編
「待って由里」

どんな顔をして会えばいいのか戸惑ってしまう

「ほら、入るよ」

「う…ん」

ガラッ

ベットに座り、雑誌を読んでいる凌がいた

足、足は?

私は凌の足を見てみる

でも布団の中に足が入っていて、わからない

「亜美…」

「元気…だった?」

気まずいまま別れてしまって、目を合わせづらい

「ごめんな…この間」

「ううん」

聞いてみよう。足のことを…

「凌…足は…」

凌は自分の足を眺め

「見てて」

そう言って布団を捲った

緊張が私の体を支配し、掌に汗が滲んでくる

由里を見ると由里は静かに微笑んでいた

息を飲み、黙って凌の足に集中する

動いていますように…

それだけを祈っていた…



< 144 / 199 >

この作品をシェア

pagetop