やさしい手のひら・後編
「嘘…」

う、動いてる…

凌の足が動いてる

嬉しくて、信じられなくて、私は涙を流していた

「凌…動いたんだね」

「初めてリハビリに行った日、亜美に見られてることが情けなくて悔しくて…。絶対治してやるっていう気持ちで毎日リハビリ頑張った」

「うん、うん」

凌の頑張っている姿が目に浮かび、泣きながら頷いていた

「ありがとな。心配してくれて」

「よかった…ほんとによかった」

「完璧じゃねぇけど、足引きずって、なんとか歩けてる」

どれだけ努力して、悔しい思いをして、歯を食い縛ったの?

凌の辛さが痛いほどわかる

動かないかもしれないと言われた足を動くようにするなんて、並大抵な努力ではできないはず

「よかった…」

「亜美がいてくれたから」

そう言って凌は笑ってくれた

幼い頃と変わらないあの笑顔で…




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