やさしい手のひら・後編
自宅に戻り、私は持っていた鞄を放り投げ、ベットに寝転んだ
「健太が…結婚…」
さっきの記事を思い出すだけで胸が張り裂けそうになる
私が掴めなかったものをいとも簡単に掴んでしまう
そんな佐原樹里が羨ましい
新くんを大切していこうって決めたのに、また健太が蘇る
自分の揺れ動く気持ちに腹が立つ
そして涙は止まることなく溢れてる
私はバックを拾い、中から携帯を出し、健太の名前を捜し出していた
いつになっても消せない健太の携帯番号とアドレス
声が聞きたい
親指が発信ボタンを押す手前で止まっている
押してしまえば声が聞ける。電話の向こうには健太がいる
携帯を持っている手が小刻みに震えている
そして躊躇いながらも私はボタンを押していた
携帯からは呼び出しの音だけが鳴り響いていた
「健太が…結婚…」
さっきの記事を思い出すだけで胸が張り裂けそうになる
私が掴めなかったものをいとも簡単に掴んでしまう
そんな佐原樹里が羨ましい
新くんを大切していこうって決めたのに、また健太が蘇る
自分の揺れ動く気持ちに腹が立つ
そして涙は止まることなく溢れてる
私はバックを拾い、中から携帯を出し、健太の名前を捜し出していた
いつになっても消せない健太の携帯番号とアドレス
声が聞きたい
親指が発信ボタンを押す手前で止まっている
押してしまえば声が聞ける。電話の向こうには健太がいる
携帯を持っている手が小刻みに震えている
そして躊躇いながらも私はボタンを押していた
携帯からは呼び出しの音だけが鳴り響いていた