やさしい手のひら・後編
健太が私に気付いたのか、こっちを見て微笑んでいる

その笑顔が痛くて、苦笑いで笑い返す

健太の所まで足を一歩一歩前へ出し、健太の前で足を止めた

自分の足元からゆっくり顔を上げ、健太の顔を見た

目と目が合いお互い視線を合わせたまま・・・

この公園で会ってからずっと会わずに今日まで来た

「久しぶりだな」

「うん」

喉の奥が熱くなり、呼吸することさえ忘れてしまいそう

この笑った顔がまた見れたことに幸せを感じていた

私はやっぱり健太を忘れることなど出来なかった

忘れたつもりでいたのは私が自分で思いだそうとしなかったから・・・

どんなに気持ちを仕舞い込んでも、何度でも私の心の鍵は開かれるんだ



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