やさしい手のひら・後編
周りが真っ暗で不気味に思える道路を上へと登って行く

ここがどこなのか検討もつかない

「もう少しだから」

健太は一言だけ言い、暗闇の中、それ以上何も言わず運転をしていた

「ここだよ」

車のライトが照らされ、見えた先には…

「えっ!」

洋館のような真っ白い建物…

そして屋根の上には十字架…

「教…会?」

驚きながら健太を見ると

「そう。教会」

優しく健太は微笑んだ

「ど、どうして…」

「前に撮影で来たんだ。その時、亜美と来たいって思ったんだ」

ここは教会だよ。私と健太には関係ない所だよ

そんな健太の行動に苛立ちを感じてしまう

ひどいよ

私達は一緒にいることさえ許されないのに…まして教会だなんて…

涙ぐむ私に健太が近付き

「亜美…」

愛しそうな顔で健太は私の名前を呼んだ



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