やさしい手のひら・後編
私の手を引っ張り、暗い教会に入って行く

健太が厚いドアを開け、照明を付けると…

目の前には色とりどりのステンドグラスが貼り付けられ、その前にはマリア像が建っていた

「きれい…」

原色を使ったステンドグラスはスポットライトを浴び、それが反射してまた一段と綺麗さを増していた

バージンロードを手を繋いだまま歩く

「ここで亜美のウエディングドレス姿見たかった」

真っすぐ前へ歩きながら健太が微笑む

「ここで式を挙げることが夢だった。俺達の友達に囲まれて亜美と永遠を誓うはずだった…」

健太の顔がだんだん悲しくなっていく

「なんでなんだよ」

健太は両手で拳を作り、ギュッと強く握ったまま跪いた

「なんで…亜美じゃねぇんだよ」

跪いた健太の背中に私は抱き付き

「健太…もう苦しまないで」

だって健太はもう十分苦しんだんだよ

「もういいの。また今ここで健太と会えただけで私は幸せだから」

健太が向きを変えて私の目を見つめた



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