やさしい手のひら・後編
「亜美」

「健太」

私達は迷うことなくマリア様の前でキスを交わしていた

永遠がないなら、今だけでもいい

今だけでもいいから健太と一緒にいさせて下さい

私は心の中でお願いしていた

ゆっくり健太の唇が離れていく

私は健太の胸に顔を伏せ

「これが最後だから私を・・・抱いて・・・」

恥かしいなんて思わなかった

今しか一緒にいられない健太の温もりを感じたかった。マリア様の前で罰が当たるかもしれない

もし罰が当たるのなら、私はそれを受け入れる覚悟がある

だって健太が隣にいないことが罰を与えられた以上のことだから・・・だからどんな罰でも受けられる

健太が私をそっと床に寝かせた

「俺は亜美を抱く」

私の真上にいる健太はそう言った




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