やさしい手のひら・後編
聖なる場所で私達はお互いを確かめ合うように抱き合い、何度も何度もキスをした

健太の優しい腕に抱かれ、健太の温もりに包まれ、私は幸せだった

いつもこうやって私をガラス細工のように触れていた

大事な物を扱うかのように・・・

昔も今も変らない。そんな健太が愛しくて、恋しくて・・・

「健太・・・」

涙が目尻を伝って流れていくのを健太が拭う

「俺はずっと亜美を愛している」

「私も・・・だよ」

深いキスをし、私は健太の首にしがみ付いた

離れたくない

健太と離れたくない

ずっと、ずっと一緒にいたい

死ぬまで一緒に・・・

「ンッ・・・」

私と健太はすべての愛を刻み、一つになった

これですべてが終わってしまったことに悲しくなり、感情を押え切れず私は、両手で顔を覆った

「離れたく・・・ない」

健太が私の体を起し、着ていた服を羽織ってくれる

「なんで離れなきゃいけないの・・・」

「亜美・・・」

ギュッと強く私を抱き締めた健太の腕が震えていた

「ごめんな・・・」

謝ることですべてが解決するんじゃない

そう言いたかった

でも謝る健太を見ていると言えなかった

それは健太の意思が揺らぐことがないとわかったから・・・





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