やさしい手のひら・後編
最後は泣かないように堪えていた

だから今になって涙が噴き出してくる

こんなに人を愛し、たくさんの涙を流し、喚いて叫んでもがいた恋

最後は自分の思いを貫かず、健太を優先して考えた結論

悔いが残らないと言ったら嘘になる

でも見切りをつけなければいけない状態だった

あのまま私の意志を通しても最終的には健太の意志の方が強かったし、やっぱり苦しめたくなかった

未来がない私の結論は間違っていないはず

時間は勝手に進む

止まることなく狂うことなく待ってはくれない

私も時間と一緒に遅くたっていいから、ゆっくり健太を忘れていこう

焦らず自分のペースで…

いつか笑って思い出話を話せるようになれればそれでいい

私は立ち上がり、夜空に向かって

「大好きな健太…今までありがとう」

そう呟き、自分で涙を拭っていた



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