やさしい手のひら・後編
「誕生日おめでとう」

みんな私が振り向くのを待っていたかのように並んでいた

大きなケーキに『亜美ちゃんおめでとう』と書かれたケーキがあった

ろうそくには火が付いている

その火がゆがんで見える

突然のことでびっくりしたのとみんなが私の誕生日を知っていたことが嬉しくて目に涙が溜まっていた

「あり・・がとう・・・ございます」

「二十歳だね。今日から大人よ。だからほら、泣かないの!」

そう言って田村さんがハンカチを渡してくれた

一人で誕生日を迎えることがとても嫌だったから、みんなにお祝いしてもらえたことがとても嬉しかったんだ

「はい、これ」

「えっ、私にですか?」

「みんなからよ」

赤いリボンがついた大きな箱を田村さんから渡された

「開けて・・・いいですか?」

「どうぞ」

田村さんはニコッと笑って言った

「えっ?これ・・・もらっていいんですか?」

この前、雑誌の撮影で使ったバックで私が欲しいと騒いでいた物だった

「この前のバックは撮影用だったからあげれなかったけど、これは撮影用じゃなくてちゃんとみんなでお金を出し合って買った物よ」

「嬉しいです!ありがとうございます」

バックが嬉しくって肩に掛けてみんなに見せてみた

「どうですか?」

「似合うわよ」
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