やさしい手のひら・後編
あれから二人が住んでいたあの高級マンションに引越した

健太は売却せず、ずっとそのままにしてくれていた

それはいつかここに私を連れ戻すために・・・

私は幼稚園を辞め、主婦となり毎日健太が帰って来るのを待っていた

離れていた時間を埋めるかのように私達は何度も抱き合い愛を確かめ合った

「亜美、今日オムライスね」

「えー、また?」

「だってうまいから」

「うん。わかった」

「じゃ、行って来る」

「いってらっしゃい」


何度も何度も道を彷徨い

たくさんたくさん泣いて笑って

やっとやっと掴めた

運命は自分で切り開いて行くもの

自分の幸せは自分で掴むもの

そしてそこにあるのは・・・

赤い糸とあなたのやさしい手のひら





-END-



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