やさしい手のひら・後編
心臓が猛スピードで動き出す

どこに視線を合わせていいのか動揺してしまう

だんだん健太の顔がはっきり見えるようになって来た時

ギュッ

えっ?

私は新くんの顔を見た

真剣な顔で前を向いたままで私の顔を見てくれない

そしてゆっくり下を見ると私の右手を握っていた

恥かしいというより健太に見られているということが私の心臓をさらに加速させた

もう健太はすぐそこいる

だんだん私達に近付いて来る

そして目の前に来た時だった

「亜美・・・」

健太が優しい目で私を見ている。私は愛しい目できっと健太を見ているはず・・・

でもそんな束の間、新くんが

「なんか用?」

私の手を力強く握った

また新くんの顔を見たけど真っ直ぐ健太の方見たままで、私の視線を無視しているかのように見えた

「だからなんの用だよ」

もう一度新くんは健太に聞いた

「今日・・・」

何?

健太は黙ってしまった

「健太ぁー」

健太の後ろから私の大嫌いな佐原樹里が現れた

「どこ行ってたのぉ。探してたのよ」

この声を聞いただけで胸が悪くなる

仮面を被った佐原樹里

あなたはいつまで健太の前で仮面を被ったままなの?
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