やさしい手のひら・後編
「亜美行くぞ」
「う、うん・・・」
新くんに手を引かれ私は一瞬だけ健太を見ると
「おめでとう」
小さくて耳をすまさないと聞こえないぐらいの声で言ったんだ
「おめでとう」って・・・
きっと新くんも佐原樹里にも聞こえていない
私だけに聞こえた
憶えててくれたんだね・・・私の誕生日
胸の奥で切ない気持ちが込み上げて来る
嬉しいのに苦しい気持ち
素直にありがとうと言えないこの感情
私は何も健太に言葉を返さず健太の横を通り、新くんに引っ張られていた手を強く握った
それに驚いたのかさっきは見てくれなかった私の顔を新くんが覗き込む
「強くなったな」
「でしょ」
私は笑って言ったのに
「顔が笑ってねーよ」
私の心を見抜いているかのように新くんは言った
「つまらない意地張るな」
「・・・」
「お前を見てれば我慢してることぐらいわかるよ」
手を引かれながら涙が零れないように歯を食い縛った
新くんは何も言わず私の手をずっと優しくて包み込んでくれていた
「う、うん・・・」
新くんに手を引かれ私は一瞬だけ健太を見ると
「おめでとう」
小さくて耳をすまさないと聞こえないぐらいの声で言ったんだ
「おめでとう」って・・・
きっと新くんも佐原樹里にも聞こえていない
私だけに聞こえた
憶えててくれたんだね・・・私の誕生日
胸の奥で切ない気持ちが込み上げて来る
嬉しいのに苦しい気持ち
素直にありがとうと言えないこの感情
私は何も健太に言葉を返さず健太の横を通り、新くんに引っ張られていた手を強く握った
それに驚いたのかさっきは見てくれなかった私の顔を新くんが覗き込む
「強くなったな」
「でしょ」
私は笑って言ったのに
「顔が笑ってねーよ」
私の心を見抜いているかのように新くんは言った
「つまらない意地張るな」
「・・・」
「お前を見てれば我慢してることぐらいわかるよ」
手を引かれながら涙が零れないように歯を食い縛った
新くんは何も言わず私の手をずっと優しくて包み込んでくれていた