やさしい手のひら・後編
そしてすぐ戻って来て

「ちょっとだけ待ってて」

私は何を待つのかわからなくて首を傾げると

「亜美ちゃん、誕生日おめでとう」

おじさんの声がしたので見てみると

「きれい」

花びらまで作られ今までに見たことがないピンクの薔薇のケーキを持っていた

「これ…」

新くんを見ると

「亜美の誕生日だからおじさんに頼んで作らせた」

「おじさんが作ったんですか?」

「イタリアンの他に趣味でケーキを作るのが好きなんだよ」

「こんなきれいなケーキ初めて見ました」

切るのがもったいないぐらい…

「あとは新、頼んだよ」

おじさんはケーキをテーブルの上に置き行ってしまった

「火付けるから」

ろうそく一本一本に火を付けていく

新くんの顔が炎で照らされている

一本付けるたびに新くんが明るくなっていく

私はそんな新くんを見つめていた

「フッーって消して」

「あ、うん」

「フッー…やった!全部消せたよ」

私は全部消せたことが嬉しくて笑うと

「おめでとう」

私を優しい顔で見ていた

「ありがとう」
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