やさしい手のひら・後編
「やる」

「何?」

新くんは小さな箱をテーブルに置いた

「誕生日プレゼント」

「え、だってさっきバックもらった…」

「あれはみんなから。これは俺から」

「でも…」

「いいから。開けてみて」

私は小さな箱のリボンを解き、ゆっくりと箱を開けた

なんだろう…

あっ…

石?

「これ…石だよね?」

「そう。石」

きれいな透き通るブルーで見ているだけで癒される

「パワーストーンって言っていつも持ち歩くといいらしい」

私は親指と人差し指でつまみ

「きれいだよね」

何度も石を回転させて見ていた

「アクアマリンっていう名前があるんだ」

「アクアマリン…」

「人魚の涙とも言われてて、幸運を招く石らしい。リラックスできるんだってさ」

「人魚の涙…」

確かにアクアマリンを見ていると心が安らげる気がする

「今のお前にピッタリな石だろ?」

「私に?」

「いつも余裕がないからアクアマリンでリラックス」

「ひどーい」

「たまに握ってやるのもいいって店の人言ってた」

「ありがと。大事にする」

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