やさしい手のひら・後編
「嬉しかったけど…」

嬉しかったはずなのに今となっては…

「虚しい…」

「佐原が隣にいるのに、お前にあんなこと言って、お前が苦しいだけだろ」

苦しい…よ。一瞬でも喜んだけど、やっぱり聞かなきゃよかったって今になって思う

「自分でお前を捨てて、他に女作って、健太の都合に振り回されてるんだぞ」

わかってる…

「わかってる…もん。そんなことわかっ…てる」

忘れようとしてるのにそんな時に限って私の前に現れる

膝の上にある手の甲に涙が落ちる

「いつまで苦しめればいんだよ」

新くんは悔しそうに窓を見つめた

健太に会えば揺らぐ自分の気持ちが悔しかった

そして新くんに隠してしまったことを後悔していた

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