やさしい手のひら・後編
「生きるのに疲れたの!どうして死なせてくれないの!」

バチンッ

私は一瞬何が起こったのかわからなかった

でも右の頬が痛い

「ふざけんな!何甘えたこと言ってんだよ!」

ジワッと涙が溜まってすぐ頬を伝いだした。新くんは私の頬を平手で叩いていた

「ウワーン」

私は両手で顔を覆い大声で泣き叫んだ

「残された人のこと考えれよ。お前を必要としている人はたくさんいるだろ」

「ヒクッヒクッ」

「人生捨てるなよ。お前の人生はこれからだろ」

「私の生きがいは・・・健太だった・・・健太だったの・・・」

健太と別れた時点で夢も希望もなくなってしまった

静寂の中、一人孤独で部屋にいることがどれだけ辛いか私はそれを味わった

泣いても笑っても誰もいない寂しさ

健太の愛情が欲しく欲しくてたまらなかった

「ウワーン」

「バカだな、お前は・・・」

私の横に立っていた新くんがソッと私の頭を撫でた

その手が温かい

自ら自分の命を捨てようとした私は、この温かさを忘れていた

人はみんな一人で生まれてくる
でも生きているうちに人と出会い、人と触れ合い、優しさを憶えていく

私の軽はずみな行動がバカだった・・・

生きたくても生きれない人がいる
死にたくないのに死んでしまう人だっている

私は唇を噛み締めながら声を殺し、枕に顔を埋めた

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