やさしい手のひら・後編
「こんにちわ」

新くんと一緒にスタジオに入った

「後でな」

お互い着替えのため控え室の前で別れ、私が部屋に入ると田村さんがいて

「こんにちわ」

「亜美ちゃん、今日で最後ね」

「はい。今までありがとうございました」

私は田村さんに深々と頭を下げた

「ほんと、もったいないわ。このままモデルの仕事をしてもらいたいのが本音なんだけどね」

「すいません」

「亜美ちゃんの夢だった仕事だもんね。これからは先生として頑張らないとね」

「はい」

「あのね・・・」

うん?なんだろう。一瞬気まずそうな顔を田村さんがした

「これね、新くんにはまだ言ってないんだけど・・・」

「あっ、はい」

「Blacksがね・・・今年で3周年なんですって。それでPVの撮影に参加しているから、記念パーティーの招待状が届いているのよ」

3周年・・・まだ3年?Blacksはもう何年も芸能界にいる気がしていた

「それでね、出演した新くんと亜美ちゃんに来てほしいって・・・」

「えっ?私ですか?」

このことで田村さんは気まずそうにしていたんだ

「行ってくれる・・・かな?行ってもらった方が事務所のためにもなるんだけど・・・」

「は・・・い」

やっぱり健太に会うってことだよね・・・


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