やさしい手のひら・後編
それがどうしてなのか私にも分からなくて、でも自分でそんなこと聞くこともできなくて・・・

「シャワー浴びてきたら?」

「あっ・・うん」

「何考えてた?」

「何も考えてないよ」

「ちゃんと言わなきゃわからないんだぞ」

そう言って私の頭を軽く撫でる

「う・・・ん。後からちゃんと言う」

「わかった。早く入って来い」

心配掛けたくないのに掛けてしまう

私はシャワーを浴びながら、いろんなことを考えていた

Blacksのパーティー・・・

本当は行きたくないというのが本心かもしれない

モデルの仕事が終わったらもう健太に会うこともない。そう思っていた

でもお世話になった小西さんと田村さんのお願いを断ることもできなかった。それに新くんも行くと言ったし・・・

きっと会うのはこれが最後なんだ・・・

芸能人の健太に会うことなんて普通ありえないことで、私が幼稚園に通うことになったら偶然でさえあることないだろう

だからこれが最後・・・

「具合悪いのか?」

ゆっくり入りすぎて脱衣所から新くんが心配をして声を掛けてきた

「い、今、上がるよ」

急いで着替えてリビングに行くと

「ほら、風邪引くって」

タオルで私の頭を拭いてくれている
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