やさしい手のひら・後編
「俺は何度も自分の決めた決断が正しかったのか間違っていたのか悩んだ」

健太…なんて悲しい顔をするんだろう

私まで悲しくなる

離れていた間の思いがこみ上げてくる

何度涙を流し、何度健太の名前を叫んだだろう

その健太が目の前にいる

夢なら覚めないでほしい

「俺はいつも亜美のことを考えていた。今、何しているんだろう。飯は食っているのか?笑っているのか?俺の中にはいつでも亜美しか存在しなかった…」

私はただ涙を流していた

「泣いてばかりだな」

優しく涙を拭ってくれる健太の指が温かい

このまま二人でどこかへ逃げたい。誰にも邪魔されない二人だけの世界へ…

「亜美に幸せになってね、って言われた時、俺は心臓をぶち抜かれた。自分から別れたのにもう亜美は戻って来ないと確信したんだ。でも亜美がいない幸せなんて考えられない…」

「健太…」

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