やさしい手のひら・後編
「ごめん・・・なさい」

「俺は謝られるより、どうして隠したのか知りたい」

私が知られたくない部分を指摘する

言わなくちゃいけない

「噴水の前で・・息抜きしていたら健太が来て、走って逃げたらヒールが引っ掛かって転んで・・・・」

やっとそこまで言い、泣くのを堪えながら

「そうしたら健太が出血している膝を見て・・・部屋に行って膝を洗ってくれて・・・」

新くんは何も言わず運転をしていて、気付いたら新くんのマンションに着いていた

「降りるぞ」

話の途中で着いてしまったため言われた通り、私は車から降りた

「部屋に行ったらゆっくり聞くから」

新くんは私を置いて先に歩いて行ってしまう

そんな新くんの後ろ姿に涙を流していた

嘘をついてしまったことで新くんをまた傷つけてしまった

自分がそうだったら・・・と考えるとやっぱり嘘をつかれるのはどんなに辛いことか、今頃になって私は気付いた

でも・・・やっぱり私の気持ちは新くんに言えない

健太への想いだけは・・・言えない

私は離れて行く新くんを追い掛けた

これ以上新くんを傷つけれない・・・

嘘をつかなくてはいけない時だってある

嘘で苦しみを和らげれる時だってある

私は何かを決断したかのように新くんのマンションのドアを開け、中に入って行った



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