やさしい手のひら・後編
街に出てきた

由里と凌に会うため

きっと私を励ますために私を誘ったんだと思う

由里と凌の優しさ

久しぶりに会うから私も楽しみだった

「ここかな?」

初めて来る居酒屋でこのビルにはたくさんのテナントが入っていた

聞いていた階へ行くため私はエレベーターに乗った

居酒屋らしくないお店にちょっと戸惑いながら、お店の人に名前を告げるとすぐ中に案内してくれた

個室になっていて料亭のような感じだ

「こちらです」

「ありがとうございます」

のれんを潜ると

「亜美!」

相変わらずの大きな声で由里が私に駆け寄って来た

「由里重いよー」

いつも通り私にしがみ付く

「会いたかったよ」

由里と私を見て凌が笑っている

「まず座れよ」

「うん」

「元気か?」

「うん、元気」

それ以上凌は何も聞かなかった

「亜美何飲む?」

優香がメニューを見ながら私に聞いた

「ビール」

「酔うのだけは勘弁な」

「ひどーい」

「亜美、今日は私と本郷のおごりだから、いっぱい頼んでいいからね」

「い、いいよ。そんな悪いよ」

「いいから亜美はいっぱい食え」

凌も由里も私に気を使ってくれている

「あのね・・・」

私は今気持ちを伝えたかった

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