やさしい手のひら・後編
「どうしたの?」

「えっ?」

教室の入り口から夏希先生が顔を出していた

「優くんと帰って来てからなんか変よ?」

「そ、そんなことないですよ」

「知り合いって…亜美先生の好きな人?」

「あっ、いいえ、違います」

「ほんと?怪しいなぁ」

夏希先生は笑いながら園児の椅子に座った

「なんか辛いことあった?」

辛いこと…

辛すぎてそれがどう辛かったのか、もう麻痺していた

「久しぶりに会う人なの?」

「2ヶ月前に会いました」

「今日は偶然?」

「公園に向かう途中見掛けたみたいで…」

「そっか…会いたくなかった人みたいだね」

そう。会いたくなかった。もう絶対会うことないって思ってたから…

「それでも会ってしまうのって不思議よね」

夏希先生は窓の方を見て、微笑んでいた

「ほら、元気だして!子供達も心配しちゃうよ」

「はい」

「もう帰る時間だから、さあ、着替えて帰ろう」

私の肩をポンと軽く叩き、夏希先生は教室を出て行った




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