やさしい手のひら・後編
着替えながら今、何時なのかと時計ばかり気にしている

健太は待っているのだろうか・・・

行かない、そう言ったのにどうしても健太のことが気になって仕方がない

そして着ていた服を脱ぎ、ジャケットのボタンを締める指が止まる

ほんとの私の気持ちはどうなんだろう

会いたいのか会いたくないのか・・・

どっちと聞かれたら・・・

会いたいんだと思う

もう戻れないことがわかっていても健太に会いたい

でも・・・やっばり新くんのことを考えると・・・

行くべきではないと思ってしまう

あんな思いをさせたくない、そうわかっていても健太に会いたかった

私は急いで着替えを終わらせ、軽く化粧を直し急いで幼稚園を後にした

こんな時間になってしまったけど待っていてくれてる?

今日に限ってヒールのある靴を履いていたことに後悔しながら私は走っていた

空はもうすっかり薄暗くなり、昼間の青空がもうなくなっていた

そんな夜空を背中に、私は無我夢中で健太のいる公園へ向かっていた




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