やさしい手のひら・後編
「健太は…間違ってる。健太が自分自身で佐原樹里の所に行ったんでしょ!なのに…どうしてそんな言い方するの?じゃあ、私の…私の…幸せはどうなるの?」

これが今まで私が言いたかったこと。それを健太に言っていた

「別れたくないのに一方的に別れを言われて、理由もわからないまま途方に暮れて…泣いても叫んでも健太は私の所になんて戻って来なかった…。それなのに私といた時が幸せだったなんて、勝手すぎる」

涙が勝手に出てくる。泣きたくないのに溢れ出てくるんだ

「私は…別れたくなかった」

あの時の気持ちを健太にぶつけていた

「こうするしかなかったんだ…」

私は俯いていた顔を上げ、健太を見ていた

「こうするしかなかったんだよ!」

悔しそうに拳を握った右手で、健太は自分の腿を叩き、手で頭を押さえ俯いてしまった

「俺は…亜美を捨てるしかなかったんだ」

健太…

こんなに弱い健太を見たことがあっただろうか…その姿に私はただ涙を流すことしか出来なかった


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