やさしい手のひら・後編
「健太…何があったの?私…どうしても知りたい…」

「…前も途中で話が終わったんだよな…」

「う…ん」

私は息を飲み健太が話してくれるのを待っていた

「ツアーの前の日、帰ろうと思って地下の駐車場に行ったんだ。…そこに佐原が俺を待っていた」

この前はここまで話を聞いていた。私はまた佐原樹里が来るんじゃないかと思い、来る訳がないのに公園の入口を見ていた

「何やってるの?私に内緒でいつもこうやって二人で会っているんでしょ!」

また…また私の前に佐原樹里が現れた

目を釣り上げて私を睨み、ヒールの音を立てて私に近付いて来る

そして私の前で止まり、

「健太は何があっても私から離れられないのよ!」

あっ、殴られる!

私は佐原樹里が手を挙げた瞬間、怖くなって顔を横に向け目を閉じた

「やめろ」

ゆっくり目を開けると、私の頭の上で健太が佐原樹里の腕を押さえていた

「俺が誘ったんだ。亜美は悪くない」

「かばう気?」



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