やさしい手のひら・後編
「本当のことだから」

佐原樹里は悔しいのか顔が引きつっている

「まぁ、いいわ」

佐原樹里はまた私を睨み

「あなた達がこの先一緒になることはありえないから。健太は私から逃げれないのよ」

私は健太の顔見た。目が合ったけど、すぐに目を逸らした

「健太と一体何があったの?教えて…お願いだから教えて!」

私は佐原樹里の服を引っ張り、何度も何度もお願いしていた

「あら、知らないの?健太ったら一番大事なこと言ってないのね」

勝ち誇った態度

内心、私は腹が立っていた。いつも自信過剰で人を見下した顔

この顔を見るたび私の胃がチクチク痛みだす

「健太はね」

「やめろ!」

「いいじゃない。はっきり教えてあげた方がこの子も諦めつくのよ」

「お前からは言うな」

健太が佐原樹里に怒る

こんなやり取りさえ、私は羨ましく思えてしまう



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