夏恋
裕也は初めて帰宅してからのサッカーの自主練をサボった。理由は本人にも分からなかった。ただ彩が帰ってくるからだろうなと自分で思った。異常なほど、楽しみにしている自分に驚いていた。二階の部屋にこもり、また読み終わっているサッカー雑誌を開いて、気にしてないふりを自分にしていた。妙にそわそわしていた。
「そうだ、風呂に入ろう」
わざと声に出して浴室へ向かう。入浴中ももう帰ってるかもしれない。もしかしたら彩ちゃんがもうすぐ近くにいるかもしれない。 得体の知れない喜びと、普通に会話ができるのか、変な不安が交錯していた。
< 10 / 23 >

この作品をシェア

pagetop