夏恋
「後はこの段ボールだけだ!」
裕也は額に滲み出てきた汗を拭う。
「結構早く終わったね!お昼はそれ終わってからでいい?」
「そうしよう」
彩の持ち物は意外に少なかった。衣類が大部分を占めていたが、それは彩が担当でクローゼットに入れ込んでいるので、裕也の仕事は午後1時までには終わりそうだ。
「この中には何が入ってるんだ?」
「多分本とかだと思うけど…」
段ボールを開けるとファッション雑誌等が顔を出した。
「…またかよ」
「適当にそこの本棚に入れておいて」
裕也は溜め息と共に作業を始める。彩のファッション雑誌の量は半端じゃない。本当にこんなに必要なのか?
裕也が雑誌をまとめていると、間から一回り小さな本が落ちた。拾ってみると、ファイルみたいな物にプリクラが沢山貼ってある。この類なら同級生の女子が持っているのを見た事がある。プリクラ帳という奴だな。ここは田舎なのでふもとの一件しかないゲーセンにプリクラはあるくらいだ。しかもいつも人気で並んでいるため、裕也も昔の彼女と数回撮っただけだ。都会には当たり前の様にあるのかな?
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