夏恋
裕也はふとそのプリクラ帳を少し開いてみた。そして動きが止まる。こ、これは…。
びっしり貼られたプリクラの中に数枚、彩が男と映っているものがある。抱き合ったりしているところからして彼氏だろうか…。同じくらいの歳の髪を茶に染めた男の横に映っている彩はこぼれる様な笑顔をしていた。頭を何かで打たれた衝撃を覚える。息が出来ない様な苦しさ。裕也はチラッと彩を見る。彩は服の片付けに夢中だ。裕也は見なかったふりをして、そっとプリクラ帳を閉じるとファッション雑誌の間に入れた。
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