キスはワインセラーに隠れて


「……あんな拷問は初めてだったぞ」

「す、すいません……」


それはとてもとても恥ずかしい記憶。

あの日、藤原さんの看病に行って、その時もベッドの上で、こんな色っぽい雰囲気になったんだけど……

たくさんキスをされて、服も脱がされて。

それから、彼の手が色んな所を巧みに攻めるものだから、私は一度すぐに達してしまって……

そして、それ以降の記憶がない。

キスマークをつけられたことに気が付かなかったのも、たぶんそのせいだ。


「気を失うほどよかったと解釈していいのか?」

「いや、たぶん……あれは、睡魔だったような……」

「……正直なヤツ。ま、今日はまだ昼間だし、寝かす気なんてないから。……覚悟しろよ?」

「ちょ、待――――」


覚悟なんて全くできていないのに、抗議の意を示す前に、唇をふさがれてしまった。

何度も角度を変えて被さってくる彼の唇から時折漏れる吐息は、さっきまで飲んでいたシャトー・マルゴーがより濃度を増したように、甘く香る。


「……環」

「は、い……?」


唇を離した彼は私を見つめながらも手は器用に服を剥いでいて、その動きに胸を高鳴らせながら、私も潤んだ瞳で彼を見つめ返すと。



「あんなカッコで働いてたこと、後悔するくらい……女に生まれてよかったって、思わせてやるよ」


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