キスはワインセラーに隠れて
「……焦った。お前、箱開けて中見せた瞬間、全然気がつかないから」
「ごめんなさい……だって、まさかこんなタイミングで言われるなんて」
「お前と出逢ってそろそろ一年だから、悪くない時期だと思ったんだけど」
「もちろんです。……うれしい。とっても」
私がはにかみながらそう言うと、藤原さんが私の腰をぎゅっと抱き寄せた。
幸せな気持ちと相まって、体温と心拍数がどんどん上がっていく。
「……さっさと上の片づけ済ませるぞ。早く帰って、貴腐ワインで乾杯だ」
「はい」
「――あ。あとお前、帰ったらすぐベッドの上の変な抱き枕片づけろ。アイツがいると見られてる気がして集中できない」
「ええっ? 可愛いのに……!」
本田にもらった、ばななっしー……
「お前が片づけないなら俺が蹴り飛ばす。つかお前、他の男にもらったものを俺の部屋に置くな」
「……リビングのソファは?」
「却下。ワインがまずくなる」
むう、と頬を膨らませると、藤原さんは諦めたように目を伏せて、私の頭をぽんぽんと叩くとこう言った。
「わーかった。リビングな。お前ばっかり俺の趣味に付き合わせるのも悪いし、これからは俺もお前の趣味を受け入れるよう努力する」
「藤原さん……ありがとうございます」
「よし。じゃあ上行くか」
「あ、ワイン忘れてる!」