キスはワインセラーに隠れて
「部屋、こんな感じの組み合わせになりましたけどいいですか?」
完成したアミダを本田が後ろの二人に見せる。
「……おお、いいじゃん。須賀さんと俺っていう組み合わせは避けたかったからな」
「ああ……部屋が狭くなるからな」
どうやらこの結果に、二人とも異論はないみたい。
180cm近くはあるだろう高身長の彼らだから、お互いに一緒になりたくなかったんだ。
私としては、なかなか気まずい部屋割りなんだけど……
「よし。じゃあ無事に部屋のことも決まったことだし。環、さっき言ってた話なんだけど……」
「あ、おぉ。……例の、告白してきた女の子のこと?」
「……そ。実は一回デートしたんだ」
「まじ!? どうだったどうだった?」
興味津々で本田の顔を覗き込んだけれど、肝心の本人は何故だか渋い表情。
デート……楽しくなかった、のかな?
「彼女……かなえちゃんって言うんだけど。俺には勿体ないくらい可愛いし、俺のことすげぇ立ててくれるし、それなりには楽しかったんだけど……」
「けど……?」
目を瞬かせてその続きを待つ私の方をちらりと一瞥すると、本田は前を見たままボソっと呟いた。
「ぶっちゃけ、全然ヤる気起きなかった」