光のもとでⅡ
「目から鱗……」
 ツカサには用事がないと送れないけれど、鎌田くんには用事がなくてもメールが送れるのね。
 ツカサにも鎌田くんに送るようなメールが送れたらいいけれど、少し考えればどういう状況になるのかが手に取るようにわかる。
 近況報告のようなメールを送ったとして、それに対する返事は必要最低限の文字数で完結するだろう。まるで、生徒の日記に先生が一言添える程度の返信。
「……やっぱり無理だな」
 こういうメールは人を選ぶようだ。

 図書室での確認作業が終わると、
「優太はこのあと部活?」
「そう、大会までもう日がないからね」
 嵐子先輩と優太先輩の会話にはっとする。
「ツカサも? ツカサも弓道の試合ある?」
「去年と同じ」
 言葉少なに返された。つまり、あるということだろうか。
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