光のもとでⅡ
観覧席で拍手が起こり放送委員が賞賛の言葉を送る中、ツカサは私目がけて真っ直ぐやってくる。
ちょっと待って――今は来られたら困るっ。
顔が熱いことは嫌というほど自覚しているし、赤面した状態でツカサと向き合うだなんて、どんなバツゲーム……。
そのうえ、観覧席にはツカサを目で追う女の子たちがわんさといるのだ。その女の子たちにどんな目で見られるかと想像すれば地獄にしか思えないわけで……。
反射的に回れ右をすると、背後にいた人とぶつかった。
「ごめんなさいっ」
謝りながら顔を上げる。と、
「前方不注意にもほどがある」
眉間にしわを寄せた飛翔くんに見下ろされていた。
「本当にごめんなさい……」
「……顔、尋常じゃなく赤いけど……」
表情を変えず指摘され、
「えっ? あっ、これは、その――」
「……なんとなく察しはつく」
言って、「つまらないものを見た」くらいの勢いで視線を逸らすのだからひどい。
それなら訊かないでよっ。
無言で文句いっぱいの視線を送ると、背後から「翠」と声をかけられた。
この声はいつも聞いている声なのに、過剰反応してそれまで以上に顔が熱を持つ。
どうしよう……振り向けない。
助けを請うように飛翔くんを見上げたけれど、助けを求める相手を間違えた。甚だしく間違えた。
この顔は、「知るか」。もしくは、「俺に振るな」という表情以外に見当がつかない。
ちょっと待って――今は来られたら困るっ。
顔が熱いことは嫌というほど自覚しているし、赤面した状態でツカサと向き合うだなんて、どんなバツゲーム……。
そのうえ、観覧席にはツカサを目で追う女の子たちがわんさといるのだ。その女の子たちにどんな目で見られるかと想像すれば地獄にしか思えないわけで……。
反射的に回れ右をすると、背後にいた人とぶつかった。
「ごめんなさいっ」
謝りながら顔を上げる。と、
「前方不注意にもほどがある」
眉間にしわを寄せた飛翔くんに見下ろされていた。
「本当にごめんなさい……」
「……顔、尋常じゃなく赤いけど……」
表情を変えず指摘され、
「えっ? あっ、これは、その――」
「……なんとなく察しはつく」
言って、「つまらないものを見た」くらいの勢いで視線を逸らすのだからひどい。
それなら訊かないでよっ。
無言で文句いっぱいの視線を送ると、背後から「翠」と声をかけられた。
この声はいつも聞いている声なのに、過剰反応してそれまで以上に顔が熱を持つ。
どうしよう……振り向けない。
助けを請うように飛翔くんを見上げたけれど、助けを求める相手を間違えた。甚だしく間違えた。
この顔は、「知るか」。もしくは、「俺に振るな」という表情以外に見当がつかない。