光のもとでⅡ
どうしよう……。
今までなら恥ずかしいと思いながらも「ぎゅっとして」と言うことはできていた。でも、今日からは無理な気がする。抱きしめられるたびに半裸のツカサを思い出してしまいそうで。
黒組と思しき団体が近づくにつれ、いてもたってもいられず席を立つ。
「翠葉っ!?」
「御園生っ!?」
海斗くんと佐野くんの制止を振り切って近くの階段を駆け上がる。と、数段上ったところで眩暈に見舞われた。
「しまった」なんて思わない。
目眩覚悟で立ち上がったし、後悔よりも、もう少し遠くまで逃げたかったのに、という気持ちのほうが強い。
ブラックアウトに加えてバランス感覚が失われ、自分が前へ傾いているのか後ろへ傾いているのかすらわからず手を伸ばす。
階段の手すりを掴めるかもしれないと思ったけれど、そんな期待は甘かった。伸ばした手は何を掴むこともできずに空を掠める。
背中に衝撃を感じ、背後へ落ちたことを悟る。
明らかに何かにぶつかった。でも、痛いと思うほどではないし、なんだか安定感がある。
あ、れ……? 背後に落ちたなら、硬い床か壁にぶつかるはずなのだけど――。
「あっぶねー……司、ナイスキャッチ!」
海斗くんの言葉に冷や汗が背を伝う。
ツカサ……? ナイスキャッチ……?
視界が回復する直前、
「何度言ったら習得する? いい加減立ち上がりざまの眩暈くらいは回避できるようになってしかるべきだと思うんだけど」
耳に息がかかるほど近くでツカサの小言が聞こえた。
声を挙げそうになって、咄嗟に両手で口を押さえる。
今までなら恥ずかしいと思いながらも「ぎゅっとして」と言うことはできていた。でも、今日からは無理な気がする。抱きしめられるたびに半裸のツカサを思い出してしまいそうで。
黒組と思しき団体が近づくにつれ、いてもたってもいられず席を立つ。
「翠葉っ!?」
「御園生っ!?」
海斗くんと佐野くんの制止を振り切って近くの階段を駆け上がる。と、数段上ったところで眩暈に見舞われた。
「しまった」なんて思わない。
目眩覚悟で立ち上がったし、後悔よりも、もう少し遠くまで逃げたかったのに、という気持ちのほうが強い。
ブラックアウトに加えてバランス感覚が失われ、自分が前へ傾いているのか後ろへ傾いているのかすらわからず手を伸ばす。
階段の手すりを掴めるかもしれないと思ったけれど、そんな期待は甘かった。伸ばした手は何を掴むこともできずに空を掠める。
背中に衝撃を感じ、背後へ落ちたことを悟る。
明らかに何かにぶつかった。でも、痛いと思うほどではないし、なんだか安定感がある。
あ、れ……? 背後に落ちたなら、硬い床か壁にぶつかるはずなのだけど――。
「あっぶねー……司、ナイスキャッチ!」
海斗くんの言葉に冷や汗が背を伝う。
ツカサ……? ナイスキャッチ……?
視界が回復する直前、
「何度言ったら習得する? いい加減立ち上がりざまの眩暈くらいは回避できるようになってしかるべきだと思うんだけど」
耳に息がかかるほど近くでツカサの小言が聞こえた。
声を挙げそうになって、咄嗟に両手で口を押さえる。